Mahoko Blog

7年目のアメリカ音楽留学生活...奇想天外な日々の中で感じたことをじっくり反芻しながら、丁寧に生きる。

明るいほうへ

混乱の中で、その社会を良くしようと声を上げ、行動を起こす人も勇敢だけど、大切な人たちを守るために、冷静になり立ち止まることも、また尊い。長い目で見たら、一瞬みんなでグッと静かに耐えることは、穏やかな未来を近づける近道のような気がしています。

 

 

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今朝、米Opera Wireで、あのオペラ界の大スター、プラシド・ドミンゴがコロナウイルス陽性、隔離中であることを公表した、と言う記事を目にして驚きました。

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前日に米国音楽芸術家組合(AGMA)を辞め、コロナ対策基金に50万ドルの寄付をした翌日の発表。(セクハラ以外は本当に素晴らしいお方なんです。)

ご高齢なだけに、本当に心配。お大事にしていただきたいです。

 

記事の中で、ドミンゴは、次のようなコメントを付け加えています。

 

どうかみんなさん、細心の注意を払ってください。感染防止の為の基本的なガイドラインに従って、頻繁に手を洗い、少なくとも6フィート(1.8メートル) の距離を保ち、ウイルスの拡散を防ぐためにできる限りのこと全てをしてください。そして何より、できるだけ家の中にいてください。

共に協力して、このウイルスと戦い、現在の世界的な危機を止めることができれば、きっとすぐに 日常生活に戻ることができるでしょう。あなた自身の為だけではなく、私たちのコミュニティ全体の安全を確保し、守るために、あなたの地方自治体の指針と規制に従ってください。

[翻訳: Mahoko*2 *3

 

"あなた自身の為だけではなく、私たちのコミュニティ全体の安全を確保し、守るために"ひとつになって、ルールに従いましょう。

と言うこと。

 

 

アメリカのコロナウイルス感染者数は3万人を超え (3月22日現在)、感染防止の為の規制は、日々厳しくなっています。ボストンの私の周りも、もうすっかり静まり返っていますが、コミュニティ全体が 淡々と協力していると言う印象です。

 

一昨日、どうしてもの用事があり、郵便局へ行ったのですが、窓口前の列も "6フィートあけてください" と言うことで、離れて並びましたし、窓口前の足元にもテープが貼られ、カウンター越しでも局員さんと私たちの間に 安全な距離が保たれるように徹底されていました。 外を複数で出歩くような人には出会いませんでしたし、子どもは一人も見かけませんでした。うちの近所は小さい子ども達もいるので、立派だなと思います。

  

 

 

いつもと違う生活、目に見えないもののせいで、当たり前が奪われてしまったことに、憤り、アクションを起こした人もいたかもしれません。

 

日本では、コンサートやライブの中止が相次ぎ、悔しい思いをしているパフォーマーやファンの方が多いと聞きました。私も、音楽家の端くれとして、パフォーマンスをキャンセルすることが、どれほど大変で、無念なことなのか知っています。

私自身も、夏前までの予定がガラ空きになり、来月歌いに行く予定だった、ロンドンのコンサートが9月に延期になりました。今の段階では、本当に9月にまたイギリスに行けるのかすら分かりません。

でも、なるようになるだろう、と思っています。

 

だって、今の状況は、選択肢とかではないと思うのです。大好きなアーティストを生で観に行けなくて、悲しいでしょう。自分のパフォーマンスが中止になって、表現の場はなくなるし、収入はなくなるし、苦しいでしょう。

でも、命より大切なものなんて ないと思いませんか。

 

 

今日の、明日の、少し未来の生活が心配で、じっとしていられない人たちの気持ちもわかる。けれど、私自身も含め、"それ今必要?"と、冷静な判断をするべきなのだと思います。

 

 

混乱の中で、声を上げ、行動を起こす人も勇敢だけれど、、大切な人たちを守るために 冷静になり立ち止まることも、また尊い。長い目で見たら、一瞬みんなでグッと静かに耐えることは、穏やかな未来を近づける近道のような気がします。

 

 

何事にも、必ず終わりは来るし、しっかり耐えた分だけ、人は明るいほうへ近づくのだと、私は信じるようにしています。

 

*1:operawire.com

*2:翻訳: Mahoko Taniguchi 

*3:operawire.com