Mahoko Blog

7年目のアメリカ音楽留学生活...奇想天外な日々の中で感じたことをじっくり反芻しながら、丁寧に生きる。

大切な人を守るために

 

"世界中に友達がいる"という幸せに恵まれたことは、とてもありがたいことだと思っています。まだ旅したことがない国、名前も知らなかったような国でも、話題になっていればその土地に思いを馳せ、友達の顔が浮かんだりするから、不思議で、嬉しいものです。

 

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新型コロナウイルスは、はじめ ある一部の国での深刻なアウトブレイク (outbreak:集団感染) として発生。大陸を越え、空を飛んで、海を越えて、パンデミック (pandemic:世界的大流行) として 今も感染が広がっています。そんな状況で、ここ数ヶ月、世界中あちこちにいる友達のことを思わずにはいられないのです。

 

 

 

先週水曜日(03/11/2020) 私が住んでいるマサチューセッツ州も、州の緊急事態宣言(The State of Emergency)を早々に発表。

ハーバード大学やMITはじめ、私の母校で仕事場でもある ボストン音楽院/バークリー音楽大学も、週末までに学生寮からの強制退去、5月まで残っている課題と授業は、すぐさまオンライン講義に切り替えられることになりました。

そして、州内の公立私立 小中高大学全てのキャンパスはその週末(早い所はすぐ翌日)で完全閉鎖。この一週間で、街中のシアター、ジムやクラブもクローズ。今ではレストランやカフェも、持ち帰りかデリバリーの注文のみ…と言うか、そもそも営業してるところが少なくなってきていますし、公共交通機関の利用も控えるように言われていますから、仕事は在宅勤務が基本です。

 

 

音楽院という、パフォーマンスベースの教育機関にいる私のようなスタッフ、教授陣の先生方、そして学生にとってショッキングだったのは、先週が春休み前…つまり、丁度 (midterm=) 中間試験の時期だったこと。そして、あと半分残っている春学期のステージ、演劇/ミュージカル/コンサートが全て中止と決まったことです。

 

まず学生たちは、ただでさえピリピリする、この中間試験期間に、あのカオスな3日間をよく乗り切ったなと思います。

 

アメリカの大学はとにかく課題と勉強の量が、日本のそれとは比べ物になりません。

音楽大学という、ある種 実技に重きをおく類の学校も同じで、学校によるとは思いますが、私がいるボストン音楽院は国内の音楽大学の中でも、アカデミックの比重がとても大きく、練習やリハーサルの傍らで、基本的に学生はみんな課題やらリサーチに忙殺されています。

そこにきて、アメリカは9月始まりの5月終わりの為、4月5月は正に学期末、学年末。本来なら、連日連夜パフォーマンス目白押し。音楽院内の全ての大中小 劇場、音楽ホール、ダンススタジオが、朝から晩までスケジュールでいっぱいになり、私の仕事も一番忙しい時期です。それらのパフォーマンスの多くが、卒業に必須のソロリサイタルやグループプロジェクトである為に、卒業が延びるのではないか、と心配になっている学生も多いようでした。そして、荷造り、帰省の航空券手配などなど。

 

先生方も、直接 学生たちを指導できるのは、あと3日。大学閉鎖前の怒涛のミーティングラッシュ、並行して、翌週からのオンライン講義の準備など諸々、走り回っていらしたし、スタッフもてんてこまいの3日間でした。

 

 

ただ、不思議だったのは、あの状況の中で、みんなそれぞれに動揺していただろうけれど、感情的になったり、ネガティブな言葉を発したり、自分たちが丹精込めて作り上げてきたコンサートが中止になる事に文句を言う人がいなかった、ということです。

 

こういう時、私はアメリカ文化の寛容さというか、ポジティブさに救われる。

 

 

最終日、金曜日の劇場内は、無念さではなく、エネルギーと感謝に溢れていました。今日を最後に会えなくなる人も多かったけれど、笑顔で冗談を言いながら、お互いを励まし、気遣う場面を沢山目の当たりにしました。

 

 

 

私は、長く日本に住んでいないし、今だって日本に居ないので、日本の状況は詳しく分かりませんが、自分の家族が、友達が、その家族や大切な人たちが、無事で、少しでも落ち着いて暮らせますように、と祈っています。

 

 

日本では、突然の学校休校に、世のお母様方が、「子供の居場所がないと」と嘆き、卒業式を控えていた 全国の6年生,3年生たちが「一生に一度の行事が中止で悲しい」とショックを露わにし、一部のパフォーマー達が公演や演奏会の中止に苦悩している、というのを耳にしました。

そして、トイレットペーパーの買い占め。。

 

「日本の首相はコロナウィルスの対応がかなり遅かったらしいね」と台湾出身の友人に突っ込まれ、「日本人は全然協力的じゃなくて、国内みんなあちこち出歩いてるんでしょ?」とアメリカ人の仕事仲間にディスられました。

 

 

私がいつもピンチの時、どん詰まった時に思うのは

"It is not the end of the world!"

世界が終わるわけじゃないんだから、大丈夫!

ということ。

 

 

今日の、明日の、自分の生活だけを考えて、行動したり、その時の気分で、感情をぶつけていませんか。

 

大切な人を守るために、ふっと冷静になって、思いやりのある行動をすることは出来ないでしょうか。

 

日本を出てから、私が気づいたのは、日本がとても便利な国だということです。

そして、日本の人は、その便利さに あまりにも慣れ過ぎているので、その'贅沢な普通'に少しでも 不具合が生じて、いつも通りの生活ができなくなった時、

すぐうろたえる。

すぐ文句を言う。

すぐ人のせいにする。

 

大丈夫、世界が終わるわけじゃないんだから。

トイレットペーパーがなくても、お尻は拭けるし、大丈夫。

 

 

自分が感染して、苦しむのも嫌だけれど、自分が感染源になって、大切な人たちに移してしまうのはもっと辛い。今 世界中の病院で、正に治療に当たられている、医療関係者のみなさんの負担をこれ以上無駄に増やさないということが、この状況下、少しの不自由を感じながらでも、まだ笑って生ている私たちがするべき協力なのではないかな、と思います。

 

大切な人を守るために、、、。

 

 

3月12日に、私のFacebook / アーティストページ / Instagram に載せたポストをここでも。

 

I am thankful that I am blessed to have friends all over the world, and I have been thinking more of each and every one of them the last few months since the COVID-19 outbreak has been spreading like a pandemic.

 

Massachusetts where I live declared a state of emergency yesterday, many schools/universities will be (or are already) closed, and reminding classes will shift to online, most performances/concerts have been canceled... the situation here is chaotic, people are stressed and confused, but I know it will end someday. I am just a little heartbroken that I won't say goodbye and thank you to people who are (going to be) leaving Boston, me as well.

 

As you know, it is not the end of the world!!

Please stay positive, my friends; Don't give in to the fear or panic. I believe the best thing we can do now is to learn social distancing to prevent the virus from spreading. Stay in. Wash your hands often. Not only is this to protect yourself and your loved ones (and everyone), but to do our best to ease the pressure on medical professionals who are the real MVPs dealing with this, with limited supplies and resources…

 

💓Be kind to your loved ones, be thoughtful for the community, spread your love to the world. 

and, keep smiling:) SMILE is more "contagious."

 

💓Sending you all my love wherever you are on this planet.

 

Mahoko

[03/12/2020]

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アメリカ留学生活を通して、"世界中に友達がいる"という幸せに恵まれたことは、とてもありがたいことだと思っています。まだ旅したことがない国、名前も知らなかったような国でも、ニュースでその国の名前を聞くと、その土地に思いを馳せ、友達の顔が浮かんだりするから、不思議です。この数ヶ月は、いつもよりもっと、その一人一人の顔を思い浮かべる時間が多くなりました。

中国には親友がいるし、台湾、香港、韓国にも沢山の友達がいます。イタリア、イランにも。

 

メッセージを送ったり、メッセージを貰ったりしながら、みんなの無事を確認しています。

 

 

大切な人たちが、世界のどこにいたとしても、無事で、少しでも穏やかな暮らしができていますように。

 

[March 21st, 2020]